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いまやオカルト研究者?!
脳科学者・茂木健一郎へ噴出した「批判」
江原啓之を持ち上げ恐山で口寄せして貰う売れっ子学者への疑問を投じたが


■「茂木氏は科学者ではない!」
 脳科学ブームとやらで、茂木健一郎(45歳)という東大大学院理学系物理学専攻博士課程修了の理学博士というピッカピカの「脳科学者」が、売れっ子タレント並みの露出度でテレビ、新聞、雑誌などを席巻している。
 ソニーは出井伸之CEO時代の'91年、高品質商品群を「クオリア」という新ブランドに育てようとしたことがあった。「クオリア」とは、「意識のなかで立ち上がる、数量化できない微妙な質感。人間が感じる感覚を特徴づける質感、感覚質」のことだ。昔から主に哲学者が用いていた「専門語」だ。それが十数年近く前から脳科学者なども積極的に使うようになった。
 出井氏が新商品群にクオリアと名付けたのは、ソニーコンピューターサイエンス研究所の研究員である茂木氏と作家の井沢元彦氏との雑誌の対談を読んだことから着想したという。茂木氏は脳と心についての著書も多く、'04年に著した『脳と仮想』(新潮社)は、翌年小林秀雄賞を受賞した。テレビ出演も多く、米大リーグ・シアトル・マリナーズのイチロー選手などにもインタビューするといった発展ぶりだ。
 しかし、「脳科学者」としての茂木氏の言動に対して「あの人は本当に脳科学者なのか。やっていることはオカルト研究者と少しも変わらないのではないか」との声があがっている。
 茂木氏は、'62年東京に生まれ、東京大学理学部と法学部を卒業し、東大大学院へ。その後、理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現在では東京工業大学大学院連携教授の他、東京芸術大学、東大、阪大、早大、聖心女子大学などで非常勤講師を務める。そんな「脳科学者」茂木氏とは何者なのか。
 オカルト批判の第一人者であり、火の玉研究でも知られる大槻義彦早大名誉教授(理学博士=東大)は、本誌の取材に対して「茂木氏は科学者ではない」とこう糾弾した。
「茂木氏は一昨年に出た『新潮45』別冊『ANOYO』で江原啓之氏と『脳とスピリチュアリズム』と題して対談している。私は『江原スピリチュアルの大嘘を暴く』(鉄人社)で、これは江原のイカサマに免罪符を与えているだけでなく積極的に江原イタコを科学的に保障する役割を果たしていることになる、何事だと批判した。
 茂木氏はオカルトを信じたり、サポートしたりしているが、科学者としてはあるまじきことだ。彼が論文を書いたころは科学者だったはずだ。そうでなければ東大物理学の博士論文審査員は6人いるので、パスさせるはずがない。茂木氏はいまやスピリチュアル研究家、江原研究家ともいうべきで、脳科学者の肩書きは返上すべきだ。それならば、彼がどういう活動をしようが私は何もいわない」
 ニュートンや湯川秀樹(中間子を発見した日本初のノーベル賞受賞者)といった大学者でさえ、晩年は宗教などに凝って独善的になってしまった。ニュートンは神の存在を証明する方程式をつくり、後輩たちに失笑された。
 世界的な科学者にしても、人間は弱いもので、年をとったり死期が身近に迫ってくると、そうなるものだ。
 ニュートンも湯川も、万有引力や中間子を発見したときは紛れもなく科学者だった。茂木氏も東大の博士論文「筋収縮の数理的モデル」('92年)を執筆したときは科学者だった。



■クオリア論争に反論もできず
 ところが、ここ数年は「クオリア」一色だ。茂木氏のサイトの「ミッション・ステートメント」にこうある。
「私はクオリアを鍵として、脳の計算原理を研究しています」
「クオリアの数学的表現を得ることを中心として、脳科学、計算機科学におけるブレイクスルーを目指します」
 クオリアを巡る議論は、前出のように哲学者の間で盛んに論じられてきた。それとともに、科学や物理学との関連の中でもクオリアの議論が展開されるようになってきた。この流れを決定的にしたのが'95〜'97年に発表されたオーストラリアの哲学者・デイヴィッド・チャーマーズ氏の一連の著作だった。
 一部の哲学者の間だけで議論されていた「クオリア」問題に、脳科学者、理論物理学者、工学者などが参入してくるのである。
 だが、脳科学者の間ではいまだに、クオリアの定義というものがない。
「ひきこもり」の研究で知られる精神科医の斎藤環氏は、茂木氏のいうクオリアについて、疑問を抱いていた。そんな折、ある出版社の企画で月に一度、茂木氏と書簡を交換し単行本にすることになった。もちろん、茂木氏も同意した上での企画だった。
 ところが、斎藤氏が最初の書簡を出してから1年近くもたつというのに、茂木氏からの書簡はいまだに届いていない。この話題を取り上げた週刊誌によると、「長考」に入っているので遅れているということだ。
 斎藤氏は、本誌の取材に応じて、いささかあきれ気味にこう語った。
「私はクオリアはオカルトであると確信しているわけではない。オカルトではないかとの疑問があるので往復書簡を始めた。『茂木さん、オカルトでなければきっちり論駁してください』というつもりだったが、書簡が返ってこないところをみると、痛いところを衝かれたのだろう。
 茂木氏はおそらく和気藹々とした往復書簡を期待していたのかもしれない。彼自身、これまでお互いに論駁し合うハードなディベート、論議を尽くすという経験はしてこなかったのではないか。いずれにしても、私は茂木氏のいうクオリアはインチキじゃないのか、学問的に問いたいだけだ」



■「脳科学者」は誰でも名乗れる
 クオリアを科学的方法論に基づいて扱おうとするときの最大の困難は、実験によってクオリアを測定することが出来ないことだ。クオリアは科学的に取り扱われるべき概念かも、いまだによくわかっていないのである。
「脳科学者の世界は“屑籠”状態で誰でも脳科学者を名乗れる。脳科学学会はあるが、医学者など興味があるからという理由で入っている人もいる。茂木氏についても、脳についてどれだけ系統だった勉強をしたのか疑わしい。脳の解剖などについても本当に理解しているのだろうかと疑問にさえ感じることがある」(斎藤氏)
 前出の大槻氏となると、さらにヒートアップする。
「クオリアは脳科学の分野の一つではない。なぜなら定義されていないからだ。質量、温度、長さなどの単位を持たず、測定ができない」
 茂木氏は青森県の恐山に行き、イタコに小林秀雄を口寄せしてもらった体験記を『文藝春秋』('06年3月号)に寄稿している。そこで、「小林秀雄その人には会えなかったかもしれないが、もっと大きな何者かに出会えたという実感があった」(同誌)という。
 茂木氏の目指すところは、要するに科学と文学、科学と哲学、科学と芸術の境界線をいくということのようだ。その接点のキーワードとしてクオリアを想定している。だが、繰り返しになるが、そのクオリアをどう追求していくのかがさっぱりわからない。
「クオリアの解明は意識の解明につながる。しかしながら意識の問題自体は独我論と同様で論証も論駁も不可能だ。つまり、厳密に記述することができない。記述できないものは科学の対象にはなり得ない」(斎藤氏)
 茂木氏はそこをわかっていないはずはない。だが、自らは脳科学者と称して、この実験や表現が不可能な分野で積極的な発言をしている。
「そこが怖い」と大槻氏がいう。
「茂木氏が理学博士と名乗り、NHKがそう紹介し、一般の人や子どもから尊敬されたり彼らに影響を与えたりしている。肩書の影響力は大きい。その彼が科学者らしからぬオカルト研究家に実質的になっている。そこが問題だ」
 茂木氏は本誌の取材にこう答えた。
「私と大槻さんで異なるのは江原氏のような人物や現象に対する態度であり、科学者という基本的な立場は同じだ。クオリアは確かに測定することはできないが、欧米の科学専門誌にも論文が載せられるなど、確立した概念だ。
 斎藤氏の件は申し訳なく思っている。精神分析と脳科学ではクオリアに対するアプローチの仕方が異なるため、熟考するためのまとまった時間が必要だ。肩書の影響力が心配というが、日本人は肩書にとらわれすぎだ」
 しかし、江原氏を持ち上げ、恐山で口寄せをしてもらう脳科学者など、ぞっとしない。

(2008年6月号掲載)
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