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オプジーボ免疫療法がん根治加速す
本庶佑教授はがん治療の主役にと
「PD‐1」の発見など“幸運続き”というが古い薬との組み合わせで新効果も


■「がん治療の主役」への期待が
 一躍注目された「免疫療法」は、がん患者の新たな光明となるか。 「3大療法に比べて、まだまだマイノリティだが、やがてこれが大きくなり、さまざまな組み合わせでがん治療の主役になる日が来ると思って期待している」  10月19日に神戸市で開かれたシンポジウムで、京都大学の本庶佑特別教授が熱弁した。主催する神戸医療産業都市推進機構は今年でちょうど発足20周年を迎え、本庶氏は2年前から同機構の理事長を務める。そこへタイミング良くノーベル生理学・医学賞受賞の吉報が舞い込んだ。  自身を「生まれつき運がいい男」と評する本庶氏は、まだ年端もいかない頃、当時住んでいた富山市で空襲に遭い、住居が焼けた。避難先の防空壕にも焼夷弾が被弾したが、たまたま水たまりがあったため不発で済み、難を逃れたという。今回、がん免疫療法に一大ムーブメントを引き起こした「PD─1」の発見も「幸運の連続」と振り返る。  がんの治療はこれまで、外科手術、抗がん剤など化学療法、放射線療法の3大療法が主流だった。一方、免疫療法はなかなか効果の検証ができず、長年、3大療法で手の施しようがない患者が行き着く先だった。  もともと免疫療法は、人体に備わる免疫細胞を「活性化」させ、異物を排除するという手法だ。  古くは「丸山ワクチン」のように免疫細胞を活性化する物質を体内に注入する「がんワクチン療法」、体内から取り出した免疫細胞を刺激し、再び戻す「LAK療法」などが行われてきたが、思うような効果は得られなかった。  今回のPD─1は、従来とは異なる角度からアプローチした免疫療法だ。がんは免疫細胞の攻撃を逃れるために「PD─L1」というタンパク質を出す。これが免疫細胞上のPD─1に結合してしまうと、免疫細胞が攻撃をストップしてしまう仕組みを突き止めたのが本庶氏だ。このPD─L1をくっつけないようにPD─1をブロックするのが、たちまち有名になった小野薬品の抗PD─1抗体「オプジーボ」だった。  その働きから「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれるオプジーボは、国内では'14年7月に皮膚がんの一種「悪性黒色腫」で承認後、非小細胞肺がん、腎細胞がんなどさまざまながん種で使われるようになった。今でも各種がんで治験が進む。 



■製薬会社も連携し世界展開へ
 現在、日本国内では、オプジーボを含め6製品の免疫チェックポイント阻害剤が承認済みだ。  MSDの「キイトルーダ」は、オプジーボと同じ抗PD─1抗体にあたる。独メルクセローノ/米ファイザーの「バベンチオ」、中外製薬の「テセントリク」、英アストラゼネカの「イミフィンジ」は、オプジーボとは異なり、がんから放出される前述したPD─L1がターゲットの抗PD─L1抗体だ。  また、免疫細胞に攻撃対象のがんを教える「樹状細胞」を介して免疫細胞の攻撃を止める経路もある。樹状細胞が出すタンパク質「B7」を、免疫細胞上の「CTLA─4」がキャッチすると攻撃が止まることから、CTLA─4をブロックする抗CTLA─4抗体「ヤーボイ」は米ブリストル・マイヤーズが扱う。  ただ、いかにノーベル賞ものの発見でもオプジーボの効果がある患者は約30%だ。手の施しようがない患者に効果をもたらしてはいるが、本庶氏も「せめて50%にできないか」と課題の一つに認識する。  現時点で免疫チェックポイント阻害剤が誰に効果があるのか事前に判断することはなかなか難しいという。免疫は非常に複雑なシステムで、例えば、インフルエンザでも、軽いかぜ症状の人もいれば、入院に至る人もいる。むしろ研究が活発なのは、効果の増強だ。免疫チェックポイント阻害剤に、別の治療法を上乗せすることで効果を引き上げる研究が世界中で展開されており、その数たるや「1千件」にも上る。  そんななか、免疫チェックポイント阻害剤同士でも、オプジーボとヤーボイ併用などの治験が進む。自ずと製薬会社の連携も活発化し、例えば、キイトルーダを世界で展開する米メルクとエーザイは3月にがん領域で戦略的提携に合意している。エーザイは自社で創製した抗がん剤「レンビマ」を各種がんで世界展開しており、キイトルーダとの併用で、さらなる売上げ拡大をめざす。  提携合意の会見で、エーザイの内藤晴夫CEOは両社の協業で、がんの適応範囲や販売が拡大し、レンビマをエーザイ単独で手がけるよりも「約3倍の売上げ拡大を想定している」と語っている。'17年度売上げを約300億円と見積もるなかで、レンビマが'26年に特許満了するまでのピーク時売上げは最大で「5千億円」規模を見据えるほどだ。



■オプジーボの効果をより強く
 まさに巨額なお金が動いているが、その画期さゆえに、薬価も高くなる。かつてオプジーボは'14年9月に100性庁栄咾△燭72万9千849円だったが、紆余曲折を経て、今年11月から17万3千768円にまで値下げされた。単純比較で76・2%もの下げ幅だ。  医療用の薬剤は2年に1度、薬価が引き下げられるのが慣例だが、オプジーボは1人あたりにかかる費用が数千万円に上るため、政府により新ルールが設けられた。高齢社会で国民皆保険を維持するには仕方ないが、製薬会社には堪える。  近年、新薬には高額薬価の問題がつきまとうが、古い薬で新たな効果を発揮するケースもある。医薬品では、当初考えられていた効果と異なる使われ方をすることが少なくない。ED治療薬「バイアグラ」も最初は狭心症薬で開発が進められていた。  まさにそれが現在、本庶氏の研究グループが行うオプジーボと「ベザフィブラート」を組み合わせた臨床試験にもあてはまりそうだ。ベザフィブラートは、'95年に発売された高脂血症薬で、すでに特許満了し、ジェネリック医薬品も販売されている。そのベザフィブラートがマウスでオプジーボの効果を増強することがわかり、現在ヒトを対象に、効果を確認する臨床試験が行われている。 「臨床に持ち込むためにいろんな製薬会社にお願いしたが、ほとんど相手にされなかった」  たびたび恨み節を語る本庶氏だが、そう容易に真価に気づくことは難しい。ただ当時のような過ちをしないよう各社が工夫を凝らしている。例えば、アステラス製薬、田辺三菱製薬、第一三共の3社は、開発中止した化合物から新たな疾患治療薬の探索を行うプログラムを実施する。開発中止化合物のライブラリーを共同で構築し、大学、公的研究機関、ベンチャー企業に提供して、改めて新薬の可能性を評価して貰うという。  生まれつきの運もあるが、本庶氏の「あきらめずに手繰り寄せよう」とする手法にも期待したい。

(2018年11月号掲載)
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