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■樹木をすべて伐採する計画も
昨年７月より「再生可能エネルギー固定価格買取制度（ＦＩＴ）」が施行、初年度（’12年度）の設備申請はいきなりラッシュを迎えた。
「垣根が低く参入しやすい」とされる太陽光発電（ＰＶ）事業は、異業種からの新規参入、ベンチャー企業、外資系企業が目立ち、その理由には「調達価格等算定委員会が制定した
’12年度の買取価格が42円／キロワット時。世界水準と比べて倍近い、日本の買取価格の確保」が挙げられている。
そのような中、中国系の太陽光発電関連企業の日本への進出も目立つ。ＥＴソーラージャパンは、江蘇省南京市などに拠点を置く中盛光電集団（ＥＴソーラーグループ）が昨年11月に開設した日本法人だ。’04年に同グループを創業した董事長（社長）であり投資家の王興華氏は、中国人民政治協商会メンバーで江蘇省太陽光発電工業協会の副総裁を務め、泰州市の「青年十傑」の称号も持つ。
またカナディアンソーラージャパン（東京都新宿区）は今年、日本で製造工場を建設すると報じられた。名前の通りカナダ（オンタリオ州）に本社を置くＰＶメーカーだが、最高責任者は江蘇省出身のエリート、蘇州などに工場がある。
国有企業系の江蘇輝倫太陽能科技有限公司（フォノソーラー）も昨年３月に日本へ進出。戦略なのか偶然なのか、なぜか江蘇省系企業が目立つ。
再生可能エネルギーによる発電事業の普及・拡大を目指すソフトバンクの100パーセント子会社、ＳＢエナジーは、’11年12月より北海道内での太陽光パネルを用いた発電実験を始めている。
道内での事業展開に、中国は強い意欲を見せている。そのシンボル的存在が、香港・上海系の天華陽光（スカイソーラー）であり、４月に札幌市内で記者会見した。また「２年間で道内十数か所に太陽光パネルを設置したい」と語った日本法人スカイソーラージャパン（スカイＪ社、東京都千代田区・陳鋭社長）である。
熊本県宇土市、佐賀県唐津市、茨城県鹿嶋市、栃木市大塚町などで、すでに事業を立ち上げているスカイＪ社は不動産仲介業者ら数人と、昨年10月、北海道広尾郡の広尾町役場を訪問。「広尾町の民有地360ヘクタールを買いたい。どんな規制があるか？」と尋ねてもいる。
同役場職員の１人はこう語る。
「われわれは民有地の売買について口を出せない立場にある。十勝振興局に必要な書類を提出して通過すれば町の整備方針を伝えて指導する」
地元の森林組合の職員に問い合わせると、「すぐにＮＯといった。なぜなら樹木をすべて伐採するという計画だったから」との返事だった。
■発電効率の悪い土地にも血眼
広尾町のケースは“未遂”に終わったが、同時期に北海道河東郡上士幌町と太陽光発電施設を建設する町有地（約１万１千500平方メートル）の賃貸借契約20年を締結。『十勝毎日新聞』などの内容を要約すると、「総事業費は２億円弱。施設には太陽光パネル２千304枚を設置し、発電量は約550キロワット時を見込む。スカイＪ社は町に対し、土地の使用料として年間約145万円を支払う」契約だ。
中国系企業が借地に満足するハズがない。なぜなら中国共産党のビジネスの基本は土地であり、その運用だからだ。案の定、中小企業基盤整備機構とスカイＪ社の不動産管理部門を担う関連会社ＳＳＪプロパティ・マネジメント合同会社（職務執行者は同じ陳鋭氏）が４月、岩見沢市の道央栗沢団地Ｈ区画（約４万６千557平方メートル）の土地譲渡契約などの締結調印式を執り行った。
同工業団地での事業概要は投資額６億円、年間の売電額は約８千万円、北海道電力への売電も決まっている。
’98年に完成した同工業団地は、現在でも半分以上が空いている状態であり「売買価格は非公開」だが、二束三文だったのではないか。「自然エネルギー分野であれば、環境にも貢献してもらえますから」と関係者に警戒心はない。
スカイＪ社はさらにオホーツク海に面した斜里郡清里町の民有地を取得、パネル設置に向けて動いており、「旭川市でも検討中」とされる。
さらに、天華陽光控股（スカイソーラーホールディングス）と深1上場の上海超日太陽能科技股1有限公司は、北京で「日本プロジェクト協力調印式」を行っている。
大枠の内容は、「日本における太陽光発電所建設プロジェクトに共同投資」「上海超日太陽能科技は主にモジュールの提供と金融業務を担当、スカイソーラーＨＤがプロジェクトの開発、資金誘致、工事の設計、調達、建設などの業務を担当」「年内に100メガワットの発電所を建設（発電所への投資額は75億円）」などだ。
気になるのは、スカイソーラーＨＤは’11年５月から、中国の太陽光発電大手・サンテックパワーで最高財務責任者（ＣＦＯ）だった張怡（Amy Zhang）氏が首席執行官に就任している点だ。サンテックパワーは今春破綻したが、張氏は前職場では一体何を得て何を実行してきたのか？
■日本へ隠し財産として移転か
その他、会社更生法を申請中の企業が所有する北海道のゴルフ場を中国マネーが買収、といった話も漏れ伝わる。ゴルフ場は更地状なので初期投資は少ないが、寒冷地帯で積雪量も多く、年間の日照時間がそもそも短い。つまり太陽光発電の効率が悪い。それでも進出に積極的（血眼）となっている最大の理由は、「大規模な土地が二束三文で手に入る」チャンスだからでは？
福島第一原子力発電所１号機から20キロメートル余り、汚染地といった風評被害に悩む福島県南相馬市だが、「岩国基地周辺の大型土地買収」（本紙’12年12月号）でレポートした不可解な企業・中国系ジーエムジー社（本社東京）との間で昨年12月、企業立地協定書締結式を行っている。
概略は、「南相馬市原町区下太田の工業団地にＧ社が３・６ヘクタールの用地を３億３千300万円で取得、太陽光パネルの生産事業に乗り出す。年産100メガワットの設備（家庭用パネル換算で２万５千世帯分）を賄う規模を目指し、国内の電気メーカーなどに供給。総工費は約50億円。６割の約30億円は福島産業復興企業立地補助金を充てる」といった計画だ。
同市の原町駅前のＳＯＨＯ向けテナント・ビルの２階に準備室を構えるＧ社と子会社ジーエムジーエコエナジーは、南相馬市と相馬市に約３万キロワット規模の太陽光発電所を建設する計画や、30ヘクタールの農地を新たに取得する計画など、「100億円の投資計画」を公にしている。
習近平と李克強のツートップ時代となり粛清がいよいよ激しさを増す中、灰色黒色の隠し資産を海外へ逃がす方策として、また日本の乗っ取りをさらに推し進めていくために、太陽光発電企業を“隠れ蓑”に、林地のみならず耕作放棄地、被災地にまで食指が伸びている。
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