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オリエンタルランド虚像の経営者○下
加賀見社長と女帝脱ディズニーは失敗へ |
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続々と寄せられる内部告発文書「鼠世直し」グループの存在と新規事業への大不安 |
■加賀美社長はディズニー嫌い
本誌は「勝ち組経営者のカリスマ」とまでいわれる加賀見俊夫社長の虚像ぶり、そしてその加賀見社長率いるオリエンタルランドの迷走ぶりを、２回にわたって報じてきた。
加賀見社長とオリエンタルランドは「現代のマスコミタブー」（業界誌記者）といわれるだけあって、本誌編集部にはその後も続々と内部告発が舞い込んでいる。また、最近では本誌編集部あてに「企画を中止しろ！」といった恫喝メールまで寄せられている。本誌はそのような恫喝メールの発信元の割り出しを急いでいるが、１日40件を超えるメールが舞い込んでいる。
その後の取材で、オリエンタルランド内に「鼠 世直し 有志」なる�猗寝嘆豸�グループ�瓩�存在することを掴んだ。「鼠」とはディズニー、すなわち加賀見オリエンタルランドのことだが、実は本誌にはこの「鼠 世直し 有志」を名乗る内部告発文書も舞い込んできている。今回は、この内部告発文書から紹介したい。
文書は〈この度は、素晴らしい特集を、有り難うございます〉で始まり、
以下、次のようにＴＤＬ（東京ディズニーランド）やＯＬＣ（オリエンタルランド）の内情を暴露している。
〈現在、ＴＤＬでは、ディズニーへの恩を忘れ、日本に夢の世界を実現させた、あまりにも偉大な故高橋社長、故川崎千春氏、故江戸英雄氏への大恩も忘れ、愛人を引き立て、レイプまで犯す部下を引き立て、醜い、ディズニーにも顔向け出来ない様な醜悪社長と取り巻きが、浮かれ果てて恐怖政治を強いています〉
〈夢に燃えて、ディズニーの夢の世界を生み出すために、若き日の汗と涙と情熱を捧げた、真の功労者たち、いわばディズニーのディズニー精神、ディズニー・フィロソフィーの戦士たち、といいましょうか、加賀見にとっても、戦友たちともいえる善人たちをも、冷酷な人切りにより、退職を迫っている状況です……〉
このあたりの事情については、本誌も１回目と２回目で詳しく報じた。ところが、文書は意外な方向に向かって、さらにこう続いているのである。
〈あれだけ世界一の夢の持ち主、ディズニーが崇高な精神で、企業利益も株主も無視して、世界の人々、世界の子供たちに与えてくれたディズニーの夢の世界、これをタナボタで貰って、自分たちの経営能力と勘違いするほどの、馬鹿者揃い、挙句の果ては、脱ディズニーの路線を、現在突っ走っているのが現状です……〉
そして、驚くべきことに、文書は次のように指摘しているのである。
〈加賀見は、ディズニーが嫌い、というのをご存知でしょうか！〉
オリエンタルランド元幹部が明かす。
「たしかに加賀見ははじめからディズニーファンだったというわけではないし、いまもそうだ。マスコミから持ち上げられてはいるが、加賀見自身、自分がそれほどの経営者ではないことを痛感している。この壁を打ち破るには、ディズニー一色のＯＬＣに加賀見色を入れて、ディズニーに頼らなくてもやっていける経営手腕を内外に示す必要がある。事実、最近の加賀見は�狠Ε妊�ズニー化�瓩鬚瓩兇靴討い襦�
■宝木女史の「仕事熱中」宣言！
本誌は第１回目で、20年にわたり米ウォルト・ディズニー社に君臨してきたマイケル・アイズナー会長兼ＣＥＯ（最高経営責任者）が今年３月に会長の座を追われる形で事実上失脚し、アイズナー氏の庇護のもと、ＴＤＲ（東京ディズニーリゾート）構想を推進してきた加賀見社長率いるオリエンタルランドの先行きにも�牴�信号�瓩�灯り始めている点を、指摘した。
その加賀見社長自身が「脱ディズニー化」をめざしているとは、まさに驚きだが、本家本元から見限られるにせよ、分家が本家本元を見限るにせよ、この「脱ディズニー計画」がうまくいく保証などどこにもない。
事実、先の内部告発文書も〈いってみれば、あまりにも素晴らしいディズニーランドを作ってもらったため、誰にでもできるディズニーランドになっていることです。そう、これだけの良い映画を配給させて貰ったら、どんな馬鹿が経営しても、映画配給会社は上手くいってしまう〉としたうえで、次のように結論づけている。
〈でも、こんな無駄と思い上がりが行き着くところは、破滅です。脱ディズニー、冗談でしょう。そんな能力の有るものが、何処にいます、この会社に。馬鹿も休み休みいえ、デス〉
ここで注目すべきは、この「脱ディズニー計画」が例の加賀見社長の威光を笠に着る女帝・宝木洋子女史（仮名）との二人三脚で進められている点だ。
先の内部告発文書にもこうある。
〈�猜�木�畚�史のホテルも、脱ディズニー。自社ブランドのホテルを、と高らかに吼えまくってますよ。ばかばかしい。ディズニーの門前街にあって、ミッキーの声が、エレベーターから聞こえてくるから、お客さんが来るんでしょう。あきれた、おめでたい連中です。加賀見と取り巻きは〉
〈素人のホテル経営者、それも、愛人問題で、風当たりが強くなったのをごまかす意味で、回された宝木女史が、ホテルを一生懸命立ち上げてきた人々を、切りまくって、左遷した後、取り巻きを従えて吼えまくっているんですから、何をかいわんや、です。イクスピアリだって、ディズニー門前街だからやってゆけるので、あれを、全国展開なんていっている。あの程度のアーケードは、青森だって、八戸だってありますよ〉
若干の説明を加えておくと、ここに登場する宝木女史とは、昨年５月、オリエンタルランドの系列会社である舞浜リゾートホテルズの副社長に大抜擢された加賀見社長お気に入りの側近である。また、イクスピアリとは、ＴＤＬに隣接するショッピングモールのことで、舞浜リゾートホテルズが展開する自社ブランドホテルと同様、これも宝木女史が手がけてきたものだ。
先の内部告発文書にもあるように、宝木女史は自分が気に入らなければ功労者ですらバッサリと切り捨てる�爐笋蠎雖瓩巴里蕕譴襦Ｊ�木女史自身も、
舞浜リゾートホテルズの今年春の社内報『きゃすとりぃ』のなかで、その仕事熱心ぶりをこう自画自賛している。
〈仕事のときは家庭のことはほとんど忘れています。でも書類を持ち帰ることもあり、料理をしながら考え事をしていて、訳のわからないものになってしまうことはあります。スピーチの原稿を考えていて焼き魚が真っ黒ということや、前夜息子から頼まれたことを翌朝はきれいさっぱりと忘れていたりとか……家族は忍耐強くなっており、何があってもあまり動じません〉
最後のくだりなどはなにやら意味深長だが、それにしても奇異に感じられるのは、社内報にもかかわらず宝木女史が「さん」づけで書かれている点である。一般の会社なら社長でも対外的には敬称はつけないものだ。
ＴＤＲではアルバイトに相当する準社員の１人が耳打ちする。
「実際、宝木副社長（会話では実名）はいまや加賀見社長に並ぶ女帝で、社内的にも対外的にも『副社長』とさえ呼び捨てにできない雰囲気がある。したがって、なかには銀座のホステスみたいに『宝木副社長さん』などと呼んでいる社員もいる。接客係にあたるキャストも、『ゲスト（お客さん）から誰ですかと聞かれたら、考古学者です、船長ですといった具合に役名で答えること』と厳命されている。ＴＤＲはさながら新興宗教集団のようだ」
■第３ディズニーホテルを建設
それはさておき、先の社内報のなかで、宝木女史は〈２０１０年へ向けての本格的な取り組みは今年から始まります〉とのスローガンで、「ＯＬＣ２０１０Vision」を掲げている。
この「ＯＬＣ２０１０Vision」は、「ＴＤＲ外売り上げ高比率の向上」「テーマパーク入園者数の向上」「経常利益の向上」が３大柱になっている。なかでも宝木女史が最も力を入れているといわれるのが「ＴＤＲ外売り上げ高比率の向上」で、その目玉となっているのが「第３ディズニーホテル」と呼ばれ、新浦安に建設が計画されている「パーム＆ファウンテンテラスホテル」というリゾートホテルだ。
先の内部告発文書で〈自社ブランドのホテルを、と高らかに吼えまくって〉と指摘されていたのもこのホテルのことだ。実は、本誌先月号（’04年６月号）で報じた加賀見社長側近によるレイプ事件が発生した際に、マスコミ各社に送付された内部告発文書にも、次のような同様の指摘がなされていた。
〈本当に株主の事を、また、ゲストの事を考えるのでしたら、思い上がった、現場を忘れた、短期利益ばかりを見ている現状は、自滅への道です。しかも、スタッフもいない（スタジオ・ジブリのような仕事をしてきたわけではないのですから）ＯＬＣで、脱ディズニーなどと、絵空事をいってとんでもない無駄をし、結果株主に将来大変な不利益をもたらす事となるでしょう〉
■ネポちゃんなるヘンテコ人形
実は、昨年12月、オリエンタルランドと日本郵政公社（生田正治総裁）は業務提携を結び、ゆうパック利用の通販事業を’04年３月から始めると発表した。また、オリエンタルランドが経営するＪＲ舞浜駅前のショッピング施設「イクスピアリ」内に童話の世界を再現した子ども向け郵便局「こどもポストハウス」を５月５日にスタートさせた。
すでにイクスピアリ内で販売するキャラクターグッズやぬいぐるみなどの関連商品をカタログ販売している。
業務提携が発表された昨年12月、東京・霞が関の郵政公社では、生田正治総裁と加賀見俊夫社長がガッチリ手を組む姿が見られた。このとき加賀見社長の左手にはイクスピアリのキャラクターである「ネポス・ナポス」のぬいぐるみが握られていたが、なんとも珍妙な格好と表情のこのぬいぐるみこそ加賀見社長と宝木女帝とが一心同体で進める「脱ディズニー計画」の最大のシンボルキャラクターだった。
イクスピアリ関係者が冷笑する。
「イクスピアリは宝木女史が手がけたものだが、入口にある託児所・キャンプネポスは、閑古鳥状態で大赤字が続いている。加賀見社長が宝木女史をホテルの副社長に�犇杁淅鯑餃瓩気擦燭里癲△修慮紊僕浩�公社との業務提携に踏み切ったのも、すべては宝木女史の失敗をカムフラージュするためだったといわれている。ネポちゃんなるヘンテコなキャラクターを推し進めたのも宝木女史だが、こんなものがミッキーやドナルドなどのディズニーキャラクターと互角に戦えるはずがない」
実は、本誌には先の内部告発文書のほかにもさまざまなオリエンタルランド関係者からの内部告発文書が舞い込んできている。そのなかの一つに〈ＴＤＬ 虚像の経営者と女帝 この、天才達の�牾い鯆兇┐襪曚匹料杼�力�瓩△佞譴襯�ャラクターをご覧ください！〉と題された文書があった。�牾い鯆兇┐襪曚匹料杼�力�瓩箸蓮∧�木女史がプロデュースした加賀見社長の著書のタイトルをもじったものだ。そのなかにはこんな指摘があった。
〈ミッキーマウスも、ウォルトもビックリの人気キャラクターです！ 名前は、ネポちゃん！ これが、ＯＬＣの脱ディズニー路線の、スーパースターです！ これをもって、ＯＬＣとディズニー社は、親子の関係から、兄弟の関係になったと！ おめでたいこと〉
〈このキャラクター、浦安市のキャラクター（中学生だか、高校生だかの作）並みのデキです。ＯＣＬの加賀見、�猜�木�瓠△修靴銅萃�役たちはこれをもって、本気で、脱ディズニー、海を越える想像力といっているのですよ！〉
どうやら脱ディズニー計画は、大コケしそうな雲行きなのである。
では、「ネポちゃん」をはじめとするキャラクターグッズなどを全国の郵便局でカタログ販売するという、もう一つの業務提携のほうはどうか。
このプロジェクトの立ち上げにあたって、宝木女史は「Many Many（メニーメニー）」と銘打った通信販売事業をスタートさせている。オリエンタルランドの100�融匆饉劭錬味叩Ε薀ぅ帖Ε┘鵐織謄ぅ鵐瓮鵐箸�主体だ。
本誌は「生活（くらし）を遊ぶ夢カタログ」とのサブタイトルのついた「Many Many」のダイジェスト版を入手したが、その表紙には不気味なくらい大きく「ネポちゃん」のぬいぐるみの写真が印刷されていた。もちろん、狙いはあくまでも�狠Ε妊�ズニー�瓩砲△襪里世�ら、ページをめくってもディズニーに関係するキャラクター商品は一つとして見あたらない。
ちなみに、カタログに掲載されている商品は次のようなものだ。
目につくところでは、ご当地グッズとして「舞浜リゾートキャブオリジナルチョロＱ４台セット」、ビッグトイとして「ジャンボやわらか積み木」、アイデア商品として写真を飾る「フォトフレーム」、ヤンキースグッズとして「ＮＹキャップメッシュ」。そのほかロベルタの「ワンショルダーバッグ」、ヴィラックの「アンブレラ」、さらにはメニーメニーのギフトセレクションとしてマルセイユの「ソープ６個セット」、ピアリアの「マドレーヌセット３個入り」などというものまである。
■下請けいじめとゴマスリが…
通販業界関係者があきれ顔で話す。
「どこででも買えるような、こんな商品ラインアップで、通販がやっていけるなら誰も苦労しない。ハッキリいって、成功の見込みはゼロだろう。それにしても、オリエンタルランドはなんでこんなバカげた商売を始めたのか。
脱ディズニーなんていっているが、これでは完全なディズニーボケで、通販業界では笑い者になっている」
事実、先のケッサク内部告発文書にも次のようなくだりがある。
〈大体、ＴＤＲの大スポンサーに日通が入っているのに、日本郵政公社（郵パック）と（株）オリエンタルランドが提携、なんて、ずいぶん、失礼ですよね！ （中略）脱ディズニーは、この程度の能力ですよ！ それにしてもお役人は、
馬鹿です。買いかぶられて、ひっくり返りそうになっている、ＯＬＣ幹部社員は役員たちは、もっと、馬鹿です！〉
これがオリエンタルランド社員の、脱ディズニー計画に対する偽らざる評価なのである。そして、このような辛辣な内部批判が噴出しているのも、「鼠 世直し 有志」の内部告発文書の〈無能な管理部門の無駄〉にある次のような悲惨な実態があるからなのだ。
〈何しろ、客をもっと入れろ、もっと商品を売れ、給料を削れ、下請けを締め付けろ、年長者は去れ、現場はバイトで十分にやっていける、子会社を作って経費を削って儲けを出せ、ってな具合ですから……〉
このうちの下請けいじめは、情実人事と同様加賀見社長体制になってからの顕著な特徴だといわれている。
理不尽なクビ切りに遭った元オリエンタルランド社員が暴露する。
「とにかく加賀見と宝木女史に睨まれたら最後、どんなに実績があっても、左遷かクビの運命が待ち受けている。その結果、社長と女帝へのゴマスリとライバルの蹴落としに長けた社員だけが出世していく。下請けいじめも陰湿で、加賀見が社長になってから、態度が気に入らないという理由だけで斬られた下請けは数知れない。創業者のウォルト・ディズニーも、草葉の陰で泣いている」
■マスコミランク付けで接待を
ただ、こうした驚愕の事実がこれまで明るみに出なかったことには、真実を伝えるべきマスコミ、とりわけテレビや新聞に代表される大マスコミに多大の責任がある。加賀見社長率いるオリエンタルランドはマスコミに対するアメとムチの使い分けのうまさに定評があるが、多くの場合、冒頭で指摘したような「タブー」を作り上げているのは、大マスコミ自身なのである。
ＴＤＳ（東京ディズニーシー）開園の際のプレス招待を受けたあるテレビ関係者が、その模様をこう明かす。
「オリエンタルランドは明らかにマスコミをランク付けしていた。当日、入場ゲートの前にはマスコミ各社が長蛇の列を作っていたが、テレビや大新聞だけは特別の入場ゲートから招き入れられた。招待された記者に配られる園内での食事券も、テレビや大新聞が５千円だったのに対し、その他のマスコミは３千円だったと聞いている。こんなアメを与えられ続けるのだから、とてもまともな批判などできない」
その一方で、オリエンタルランドはマスコミに対する陰湿なムチも縦横無尽に駆使している。事実、ある経済評論家が某男性週刊誌にＴＤＳの悪口を書こうとしたところ、突然、その週刊誌の編集長から�爛好肇奪廰瓩�かかったことがあった。
記事を書くことのできなかった経済評論家が、コトの次第を暴露する。
「悪口といっても、スキャンダラスなものではなく、常識的に許容される範囲の、経済的視点からの指摘だった。
にもかかわらずストップがかかったのは、オリエンタルランドによる無言の圧力があったからだ。事実、私は編集長から『悪口を少しでも書くと、以後、ＴＤＲには出入り禁止となり、雑誌や単行本のＴＤＲ関連の企画がまったくできなくなる』と丁重に説明された」
１行でも悪口を書いたマスコミは出入り禁止にする――。これではもう、露骨な圧力といっていい。こんな恫喝に屈するマスコミもマスコミだが、加賀見社長とオリエンタルランドはいったい何様のつもりなのか。
加賀見社長は著書『海を超える想像力』の「感謝の言葉に代えて」と題した「あとがき」でこう書いている。
〈オリエンタルランドにとって、われわれ社員にとって、偉大な父であった高橋政知。その人を失ったとき、私は自分自身の悲しみと心にぽっかりと空いてしまった穴を埋めるように、無性に本を書きたくなった〉
しかし、このようなマスコミ向けの虚像の一方で、加賀見社長周辺から洩れ伝わってくる実像は、先人の努力をことごとく踏み躙る夜郎自大ぶりばかりである。お気に入りの女帝との二人三脚で進める「脱ディズニー計画」を指摘するまでもなく、加賀見オリエンタルランドが魔法の国のように消え去る日も、そう遠い将来のことではないのかもしれない。本誌は今後ともシビアなチェックを続けていく。
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| （2004年7月号掲載） |
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